2オクターブ重複によるメロディ

a) ヴァイオリンとヴィオラまたはチェロ

第一ヴァイオリン | 8 | 第二ヴァイオリン | 8 | ヴィオラ、
または
第一ヴァイオリン | 8 | 第二ヴァイオリン | 8 | チェロ、
という組み合わせは、緊張感を伴った豊かなcantablieのメロディに用いることができ、基本的にはforteのパッセージに用いるものです。

No. 32. Antar, 65. 第一ヴァイオリン | 8 | 第二ヴァイオリン | 8 | ヴィオラ + チェロ

その他の色々な組み合わせ

ヴィオラ | 8 | チェロ | 8 | コントラバス、

(第一ヴァイオリン+第二ヴァイオリン) | 8 | (ヴィオラ + チェロ) | 8 | コントラバス、

(第一ヴァイオリン+第二ヴァイオリン+ヴィオラ) | 8 | チェロ | 8 | コントラバス、

の組み合わせは、そのフレーズに各楽器の低音域が使われている場合や、荒々しく過酷な雰囲気が欲しい時に用いられます。

Legend of Kitesh, 66: 第二幕の冒頭

No. 33. Snegurochka, 215: 軽業師の踊り

注:(第一ヴァイオリン+第二ヴァイオリン+ヴィオラ) | 8 | チェロ | 8 | コントラバスの組み合わせはバランスが悪く見えるかもしれませんが、これはそれほど問題ではありません。これは、このような場合、それぞれのオクターブの部分倍音が互いに他のオクターブを支えあうためです。

3または4オクターブ重複の重複

第一ヴァイオリン | 8 | 第二ヴァイオリン | 8 | ヴィオラ | 8 | チェロ | 8 | コントラバス | 8 |
という組み合わせは極めて稀で、基本的に管楽器によるサポートなしで用いることはありません。

COMMENT: 弦楽器で極めて重いメロディを表現したい場合には、木管などのサポートなしにこのような重複を用いることもあります。初心者がやりがちなのは、ベースラインを3オクターブでなぞってしまうことです。木管や金管のサポートが有るか無いかによらず、それは普通用いるものではありません。そのようなアレンジが許されるのは、ベースラインを本当に重たくしたい場合だけです。ヴィオラは基本的にはバスを担当する楽器ではないのです。

The legend of Kitesh, 150 (allargando).

*Scheherezade, 第四楽章, 10小節目の始め.
第一ヴァイオリン | 8 | 第二ヴァイオリン | 8 | ヴィオラ+チェロ | 8 | コントラバス | 8 |

三度または六度による重複

メロディの三度重複を弦楽器に任せる場合、基本的にはそれぞれの声部の音質が等しくなければなりません。一方、六度重複の場合は音色が異なっていても問題ありません。三度をさらにオクターブで重ねる場合、第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンを使うようにします。この場合、第一と第二では奏者数こそ異なるものの、三度はちゃんと均等に聴こえます。ヴィオラとチェロの組み合わせでも同じアレンジが可能ですが、あくまでこれは三度の場合のみであって、六度重複をさらにオクターブ重複するのには使えません。

*No. 34. Legend of Kitensh, 34. (第一ヴァイオリン div. | 3 | 第一ヴァイオリン div.) | 8 | (第二ヴァイオリン div. | 3 | 第二ヴァイオリン div.)

*Legend of Kitesh, 39. 第一ヴァイオリン | 6 | ヴィオラ

(No. 31.) Legend of Kitensh, 223. (第一ヴァイオリン div. | 3 | 第二ヴァイオリン div.) | 8 | (第一ヴァイオリン div. | 3 | 第二ヴァイオリン div.)


 オクターブ、三度、六度重複は通常、各楽器にとって普通の音域を用いるようにします。これは和音のバランスを崩さない為ですが、時として例外が許されます。例えば次の六度重複の場合では、上声部をチェロに、低い方をヴァイオリンのG弦に割り当てています。このようにすると、元々の音質をはっきりと残すことができます。

No. 35. Spanish Capriccio, D. チェロ | 6 | (第一ヴァイオリン+第二ヴァイオリン)

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