【会話で学ぶ】コントラバスのソロに木管を重ねるなら?旋律の途中で補強役を替える
クマニコル:コントラバスに低い旋律を弾かせて、木管を重ねたいんです。最初に選んだ楽器を、フレーズの最後まで使うのでしょうか?
リムコフ博士:旋律の動きに応じて、重ねる木管を途中で替える方法がある。コントラバスのソロは続けながら、初めをコントラファゴット、その後を普通のファゴットで支える実例があるぞ。「旋律の担当」と「それに重なる担当」を分けて考えるのじゃ。
コントラバスは続き、木管だけが交替する
『管弦楽法の基本』第2巻No.10は、『見えざる町キテージ』練習番号306。第1巻のコントラバスの項目でも、初めはコントラファゴット、その後はファゴットが重なる例として紹介されています。この作例は編集者シュタインベルクが追加したものです。

クマニコル:一番下の C-b. に Solo、その上の C-fag. にも Solo と書かれていますね。
リムコフ博士:C-b. がコントラバス、C-fag. がコントラファゴットじゃ。最初の小節は、どちらも休符のあとから同じリズムで入る。次の小節も旋律に沿って動くが、3小節目ではコントラファゴットが最初の音を鳴らしたあと休みに入る。
クマニコル:そこからは、コントラバスだけになるのですか?
リムコフ博士:その上の Fag. を見よう。初めの2小節を休んでいた第一ファゴットが、3小節目の途中から加わる。一方、コントラバスは次のフレーズを弾き続けておる。低弦の旋律を木管へ丸ごと受け渡したのではなく、低弦に重なる相手を替えたのじゃ。
「低い楽器だから最後まで同じ相手」と決めない
クマニコル:なぜ、二種類の木管を一緒に重ね続けないのでしょう?
リムコフ博士:少なくとも、この譜面が選んでいるのは三者をずっと同時に鳴らす形ではない。コントラバスの線が上へ進むのを追いながら、前半と後半の補強を分けている。これを参考にするなら、まず自分の旋律にも、重ねる相手を見直したい音域やフレーズの区切りがあるかを探すとよい。
クマニコル:コントラファゴットを足しておけば、低い旋律には何でも合う、とは考えないのですね。
リムコフ博士:うむ。「低い楽器」という分類だけで、旋律全体の扱いを決めてはいかん。どこからどこまで同じ線を重ねるのかを決めることも編曲なのじゃ。ただし、この例だけから「この高さになったら必ずファゴットに替える」という境界音を作ることもできん。作品の中での選択として読むのじゃよ。
木管の持続音と弦のトレモロは、低い旋律と別の仕事
クマニコル:ソロと書いてあっても、周囲はずいぶん音を鳴らしていますね。
リムコフ博士:その通りじゃ。上方のオーボエ、イングリッシュホルン、クラリネットには、弱い音量で長く保つ音がある。ヴァイオリンとヴィオラは pp のトレモロ。コントラバスと重なる木管のように、同じ旋律をなぞっているわけではない。旋律の重複、持続する和声、トレモロを分けて見ると、段数の多い総譜でも仕事の違いがわかる。
クマニコル:では、これはコントラバスだけが主役の場面ですか?
リムコフ博士:そこも読み違えないようにしよう。この場面には L’apparition と書かれた歌の声部もある。コントラバスが重要な旋律線を担う実例ではあるが、独奏協奏曲のように、ほかをすべて従属させた例として扱うべきではない。
自分の旋律で試すときの判断
クマニコル:自分の曲で低いソロを補強するときは、何を決めればよいでしょう?
リムコフ博士:第一に、コントラバスの線を最後まで残すのかを決める。第二に、木管は全体をなぞるのか、前半と後半を分担するのかを考える。第三に、周囲の和声まで同じ旋律へ集める必要があるかを見直す。この例なら、長い和声音とトレモロは別の仕事を保っている。
クマニコル:旋律が弱そうだから楽器を全部足す、ではなく、必要な区間の相手を選ぶのですね。
リムコフ博士:そうじゃ。また、この歴史的な作例から「コントラバスのソロには必ず補強が必要」と決めつけることはできん。今回学ぶのは、補強すると決めたときの一つの方法じゃ。ソロの音色をそのまま聞かせたいのか、木管と合わせた線にしたいのかを先に決めるのがよい。
読み方の注意:この譜例のコントラバスは、末尾で通常とは異なるアルト記号を使っています。記譜上の高さだけを比べず、音部記号と各楽器の実音を確認してください。本文の担当の交替は、第1巻の説明と第2巻の実際の休符・音符を照合しています。編曲時の確認順序は、その実例をもとにした学習上の整理です。
チェロを含む通常の低音配置については、チェロとコントラバスの低音に、ファゴットを足すと?で、上下二層の組み合わせを扱っています。
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