【会話で学ぶ】チェロの旋律にアルペジオ伴奏を付けるには?弦とハープの分担
クマニコル:チェロにゆったりした旋律を歌わせながら、伴奏は流れるように動かしたいんです。ハープだけにアルペジオを任せればよいのでしょうか?
リムコフ博士:一つの具体的な方法は、チェロを旋律、第二ヴァイオリンとヴィオラを細かな分散和音、ハープを別の動きの分散和音、ホルンを長めの和声音、コントラバスを低音に分けることじゃ。全部の楽器を同じ細かさで動かす必要はない。静かに歌う場面での分担を、実際の譜面で見てみよう。
チェロが入る瞬間、ほかの楽器は何をしている?
譜例は『管弦楽法の基本』第2巻No.7、『パン・ヴォエヴォーダ』の夜想曲「月の光」、練習番号134。第1巻では、チェロの幅広い歌唱的旋律と、その後の第一ヴァイオリンによる上のオクターヴの重複を説明する例として挙げられています。以下の伴奏の役割分けは、その譜面を読むために整理したものです。

クマニコル:音符が細かいので、どこを先に追えばよいか迷います。
リムコフ博士:まず下から二段目の V-c.(チェロ)を見よう。最初は休んでいて、この画像の右端で dolce ed espressivo、甘く表情豊かに歌い始める。その上に並ぶ第二ヴァイオリンとヴィオラは、すでに細かい音型を動かしておる。速く動く声部が主旋律とは限らないのじゃ。
クマニコル:チェロが歌い始める前から、伴奏の流れがあるんですね。
リムコフ博士:そうじゃ。その瞬間にクラリネットとファゴットの動きも退いている。旋律の入口を調べるときは、音を加える楽器だけでなく、休みに入る楽器も見るとよい。前に出る声部が変わることを、譜面の縦の位置で確かめられる。
弦とハープを同じアルペジオにそろえなくてよい
クマニコル:第二ヴァイオリンとヴィオラが動くなら、ハープは同じ音型を重ねるのでしょうか?
リムコフ博士:この例では、同じ形をそのまま重ねてはおらん。弦には上向きの細かな音型が見え、ハープには下へ進む分散和音がある。動く方向や刻み方を分担しているのじゃ。ハープの両手も、常に同じ細かさで進むわけではない。各声部を横に読んでから、同時に鳴るところを縦に見るんじゃよ。
クマニコル:和音を一つの形で鳴らすだけでなく、同じ場面の中に違う流れを作れるんですね。
リムコフ博士:ただし、動きを増やせばいつでもよい、という意味ではない。ここでは第二ヴァイオリンとヴィオラが弱音器付きの pp、ハープが p。さらにホルンも弱音器付きの ppで、細かい音型を一緒に刻むのでなく、長めの音で和声に参加している。この静かな条件を抜いて、音型だけ大きく鳴らせば、同じ組み立てにはならん。
| 役割 | この譜例での担当と書き方 |
|---|---|
| 歌う旋律 | チェロ。dolce ed espressivo のまとまった旋律。 |
| 細かな弦の動き | 第二ヴァイオリンとヴィオラ。弱音器付き、pp の分散和音。 |
| 別方向の分散和音 | ハープ。p の下行する音型。弦と同一の形ではない。 |
| 長めの和声音 | 弱音器付きホルン。pp で、細かい伴奏と異なる長さの音。 |
| 低音の支え | コントラバス。長く保つ低音。 |
この表は掲載譜例の役割を整理したものです。どの曲にもこの人数・組み合わせを当てはめる規則ではありません。
旋律を広げるときは、伴奏を増やす前に何を見る?

クマニコル:続きの右端では、休んでいた第一ヴァイオリンが入りますね。チェロから旋律を引き継ぐのですか?
リムコフ博士:チェロはそこで終わらず、旋律を続けておる。第一ヴァイオリンはその上のオクターヴに加わるのじゃ。伴奏にさらに細かい音を足すのではなく、旋律の側を上下に広げている。チェロだけで始めた状態との差に注目するとよい。
クマニコル:動きの量を増やす以外にも、旋律の聞かせ方を変える方法があるんですね。
リムコフ博士:うむ。静かな歌の途中を少し広げたいなら、「伴奏を増やす必要があるのか、それとも旋律の広がりを変えたいのか」を先に決める。この例は後者を考える手がかりになる。なお、チェロにはハ音記号が使われている。譜表上の高さだけを見て、第一ヴァイオリンとの音程を判断せぬことじゃ。
自分の編曲に取り入れる順序
クマニコル:この響きを参考にするとき、どこから書けばよいでしょう?
リムコフ博士:まず歌わせたいチェロの旋律と、支える低音を決める。次に、和声の音を長く保つ担当と、分散して動かす担当に分けて考えてみるとよい。弦とハープの両方を使うなら、同じ音型を機械的に重ねる前に、方向や細かさを変える理由があるかを確かめるのじゃ。
クマニコル:最初から全員にアルペジオを書かなくてよいんですね。
リムコフ博士:そうじゃ。この例から学べるのは、動く伴奏を複数用意しながら、歌う旋律と長い和声音まで全部同じ動きにしないという分担じゃ。力強い全奏を作るための配合ではなく、弱い音量で歌う場面の実例として使うと、判断を取り違えずに済む。
参照:『管弦楽法の基本』第1巻「旋律」のチェロに関する説明、および第2巻No.7。譜例は提供された第2巻PDFから切り出し、音符・楽器名・強弱等は改変していません。「自分の編曲に取り入れる順序」は譜例をもとにした学習上の整理です。
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