【会話で学ぶ】ファンファーレの伴奏は同じリズムにそろえる?木管と弦で動きを加える方法
クマニコル:トランペットのファンファーレを、もっと華やかにしたいです。弦と木管にも、同じリズムを吹いたり弾いたりしてもらえばよいでしょうか?
リムコフ博士:同じリズムで補強する以外に、トランペットの音型を残し、その周囲で木管と上側の弦をもっと細かく動かす方法がある。低い楽器まで同じ動きにせず、長い音で支える。金管の輪郭、速い装飾、持続する土台を分担するのじゃ。
『キーテジ』では、金管と伴奏が別の細かさで動く
『管弦楽法の基本』第1巻「金管楽器によるメロディ」は、第2巻No.70『見えざる町キーテジの物語』練習番号65をファンファーレ型の実例として挙げています。No.70全体はトランペットとホルンを含む例ですが、今回はトランペットが動く冒頭4小節の配分に絞ります。

クマニコル:金管の段を見ると、Tr-be. の音符が最初から動いていますね。
リムコフ博士:上の I・II の段と、その下の c-alta と記された段がトランペットの部分じゃ。ここを先に追ってから、3小節目の木管と見比べてごらん。トランペットは自分のリズムを進め、木管にはそれより細かな音符が続いている。
木管と弦には、金管の音符をそのまま配らない
クマニコル:どの楽器が速い動きを加えていますか?
リムコフ博士:3小節目から、フルート、オーボエ、イングリッシュホルン、クラリネット、バスクラリネットが細かく動く。同じ場所で第1・第2ヴァイオリンとヴィオラも arco、弓で弾く音型へ移る。上下の楽器がまったく無関係に動くのでなく、まとまった速い動きを作っているのじゃ。
クマニコル:金管にもその速い音型を渡せば、もっと勢いが出ませんか?
リムコフ博士:そうすると、ここで参考にしたい分担が変わる。金管に残してある音型の輪郭と、その周囲の速い流れを別々に聞かせるのが今回の着眼点じゃ。全員が同じ速さになることを、派手さの条件にしなくてよい。
第1ヴァイオリンの速い音型には div. の指定があります。複数の音符が縦に並ぶ箇所を、奏者全員が重音で弾くものとして読まないようにしてください。
上が速くなっても、トロンボーンと低音は持続する
クマニコル:バスクラリネットまで速い動きに入っています。低音楽器も全部動かすのですか?
リムコフ博士:ファゴットとコントラファゴットの段を見よう。こちらは長い音をつないでいる。3本のトロンボーンは和音を保ち、テューバ、チェロ、コントラバスも長い音で下を支える。バスクラリネットが動くからといって、低い楽器全体を一つのリズムにまとめてはいない。
クマニコル:細かい音が増える一方で、和音と低音の足場が残っているのですね。
リムコフ博士:その通り。速い音型だけで総譜を満たしていないのじゃ。トロンボーンの和音は途中で変わるが、トランペットの一音ごとに打ち直す伴奏ではない。和声を保つ時間と、金管が動く時間を分けて読もう。
| 役割 | 掲載部分の主な担当 | 読み取る違い |
|---|---|---|
| ファンファーレ型の音型 | トランペット | 3小節目以降も、周囲の速い音型とは違うリズム。 |
| 速い動きの追加 | フルートからバスクラリネットまでの木管、ヴァイオリンとヴィオラ | 3小節目から連続する細かな音符。上側の弦はarcoへ。 |
| 持続する和声と低音 | トロンボーン、テューバ、ファゴット類、チェロ、コントラバス | 長い音を支えにして、全員では刻まない。 |
| リズムの支え | ティンパニ | 掲載4小節では、トランペットの発音リズムと対応する動き。 |
最初のピッツィカートと、後のarcoにも意味がある
クマニコル:最初のヴァイオリンとヴィオラには pizz.、sf と書いてありますね。最初から細かく弾いていないのですか?
リムコフ博士:冒頭はピッツィカートの短い発音があり、そのあと休む。3小節目では arco に変わり、速い流れに参加する。同じ弦のセクションでも、最初のアクセントと後の連続する動きで仕事を変えているのじゃ。
クマニコル:同じ楽器がずっといるかどうかだけでは、変化を読み取れませんね。
リムコフ博士:そうじゃ。譜例の最初から全員を休ませているわけでも、全員を同じ音型で鳴らしているわけでもない。短く発音する、休む、弓で連続して動くという変化まで見ると、伴奏の作り方が具体的になる。
同じリズムの補強と、別の動きの追加を選び分ける
クマニコル:自分のファンファーレでは、どちらを選べばよいでしょう?
リムコフ博士:金管の発音を一緒にはっきり示したいなら、まず同じリズムの補強を考えられる。金管の音型を聞かせたまま、その周囲に速い動きを作りたいなら、この譜例の分担を検討しよう。ただし、木管と弦へ別々の旋律を無制限に足す話ではないぞ。
クマニコル:書き終わったら、どこを確認しますか?
リムコフ博士:まず金管の音型だけを追う。次に速い木管と弦の動きを見て、金管の線と和声の上で整合しているか確かめる。そして、長い音を担当する楽器が土台として残っているかを見る。派手にしたくても、全パートへ細かな音符を配る必要はないというのが、この例から学べる判断じゃ。
出典:『管弦楽法の基本』第1巻「金管楽器によるメロディ」、第2巻No.70の前半。声部の役割と発音の比較は掲載譜例の分析、編曲時の確認手順はその分析から整理した学習上の補足です。原典の音符・強弱・奏法指定は改変していません。
曲全体で楽器の登場をどう計画するかは、盛り上げたいなら、最初から全部の楽器を鳴らすべき?で解説しています。
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