【会話で学ぶ】ホルンの旋律を少しずつ厚くするには?1本から4本へ増やす書き方
クマニコル:ホルンの旋律を繰り返すたびに、少しずつ厚くしたいです。4本を最初から鳴らして、だんだん強くすればよいでしょうか?
リムコフ博士:別の方法として、最初は1本、次に2本、さらに3本、最後に4本と、同じ線を奏する人数を増やす書き方がある。しかも、人数を増やす間ずっと強くし続ける必要はない。各フレーズの膨らみと減衰を保ちながら増やす例を見よう。
『五月の夜』では、同じ旋律へホルンが順に加わる
『管弦楽法の基本』第1巻の金管のユニゾンを扱う節は、第2巻No.76『五月の夜』第3幕冒頭を、1・2・3・4本のホルンの実例として挙げています。譜例では、奏者の番号と a 2 の指定を組み合わせると、参加人数の推移を読み取れます。

クマニコル:Cor. (E) の二段がホルンですね。最初は上の段に I. とあります。
リムコフ博士:それが第1ホルン1本の出発じゃ。次の入りでは、上の段に a 2 とある。そこからは上段の2人が、同じ線を吹く。譜表が一段でも、奏者は1人とは限らないのじゃ。
クマニコル:そのあと下の段に IV. が出てきます。ここで4本になるのでしょうか?
リムコフ博士:IV. は第4ホルンという奏者の番号で、4人という意味ではない。上段の2人に第4ホルン1人が加わるので、この段階では3本じゃ。最後に下段も a 2 となり、上段2人と下段2人で4本になる。
| 譜面の指定 | 参加するホルン | 合計 |
|---|---|---|
| 上段 I. | 第1ホルン | 1本 |
| 上段 a 2 | 上段の2人 | 2本 |
| 上段 a 2 のまま、下段 IV. | 上段の2人+第4ホルン | 3本 |
| 上段・下段とも a 2 | 両段の各2人 | 4本 |
二段になっても、和音へ分けたわけではない
クマニコル:下の段が加わると、低い和声音を付けることになりますか?
リムコフ博士:この箇所の上下のホルンを見比べよう。下段は、上段と同じ高さ、同じ動きを吹いている。二段に書かれていても、ここでは旋律のユニゾンを増やしているのじゃ。和音の構成音を一つずつ配るのとは違う。
クマニコル:増えているのは旋律の数ではなく、一本の線を支える人数ですね。
リムコフ博士:そうじゃ。自分の曲でも、同じ旋律の響きを厚くしたいのか、別の和声音を加えたいのかを先に決める。この例から借りるのは前者の考え方じゃ。人数を増やすことを、そのまま和音を増やすことに置き換えないようにしよう。
人数は増えても、フレーズごとのpと強弱の波が残る
クマニコル:1本から4本へ増えるなら、長いクレッシェンドが続くと考えてよいですか?
リムコフ博士:強弱記号も別に見よう。初めの1本だけでなく、2本、3本になる入りにも p があり、膨らんだあとに弱まる指定がある。人数を増やしても、一つ一つのフレーズの形を残している。
クマニコル:前のフレーズより必ず大きいところから始める、という書き方ではないのですね。
リムコフ博士:その通り。最後の4本の部分では mf とアクセントへ変わる。人数の変化、強弱の変化、音の輪郭の変化は、関連しているが同じ指定ではない。一つの長い強弱記号だけで、この譜例の変化を説明しきれないのじゃ。
伴奏も、ホルンの人数と同じようには増やさない
クマニコル:ホルンが加わるたびに、伴奏の楽器も増えているのですか?
リムコフ博士:上の木管では、クラリネット、オーボエ、フルートが短い音を順番に添える。3種類がそのまま積み重なって残る形ではない。ホルンの増員と、木管の登場を同じ意味に読まないことじゃ。
クマニコル:弦の方はどうでしょう?
リムコフ博士:初めの方では、第1・第2ヴァイオリンに con sord.、弱音器の指定があり、ヴィオラとともに短いフレーズを添える。最後のホルン4本の部分では、ヴァイオリンが休み、ヴィオラ、チェロ、コントラバス側の伴奏へ移る。全員を順に足し続けるだけではないのじゃ。
反復を厚くする前に、四つの入り方を決める
クマニコル:この考え方を使うなら、何から書けばよいでしょう?
リムコフ博士:まず、1本でも形がわかる旋律を決めよう。その反復のどこで2本、3本、4本にするかを選ぶ。次に、各回をどの強さで始め、どこで膨らませ、どこで収めるかを書く。最後に伴奏の仕事を確かめる。人数の増加だけで、曲の表情まで自動的に決まるわけではない。
クマニコル:4本をそろえて大きくするだけでなく、同じ線に加わるタイミングと、毎回の歌い方を考えるのですね。
リムコフ博士:そうじゃ。この例は、ホルンの音色を保ちながら、反復の響きを段階的に厚くしたいときの手がかりになる。ただし、1本増えれば音量が何倍になる、と計算するための例ではない。使う音域や伴奏と合わせて、実際の釣り合いを確かめよう。
出典:『管弦楽法の基本』第1巻「金管のユニゾン、オクターブ、三度、六度」、第2巻No.76。人数と強弱、伴奏の変化の対照は譜例の分析です。編曲の手順は、この実例から整理した学習上の補足です。譜例の音符・強弱・奏法指定は改変していません。
人数と合奏の強さを比較するときの前提は、オーケストラの音量は、人数だけで計算できる?で解説しています。
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