【会話で学ぶ】トロンボーン3本で上三声を吹くとき、低音はどの楽器に任せる?

充実した金管の和音を作りたい。三本のトロンボーンを上の三声に使うと、いつも低音を支えていた第三トロンボーンまで上へ回ることになる。残った低音をどう組み立てるか、原典の具体的な配置を読みます。

クマニコル:博士、トロンボーン三本で和音の上側をそろえたいんです。でも、第三トロンボーンを上へ使ったら、低音が足りなくなりませんか。

リムコフ博士:クマ君、第三トロンボーンをいつもバスへ固定しなくてもよい。三本を上三声に使い、二本のホルンとチューバでバスのオクターブを作る配分があるよ。

クマニコル:ホルンが低音側に回るんですね。どの高さを担当するのですか。

リムコフ博士:二本のホルンが同じ高さでバスの線を持ち、その一オクターブ下をチューバが重ねる。トロンボーン三本は、それより上で三つの声部を受け持つんだ。

トロンボーンの上三声、ホルンの中間、チューバの低音を読む

三本のトロンボーンが上三声、二本のホルンとチューバがオクターブのバスを受け持つ原図
『管弦楽法の基本』第三章「金管楽器による和声」より引用。3 Tr-bniはトロンボーン三本、2 Corniはホルン二本。ホルンは実音で表されています。画像を押すと拡大できます。

クマニコル:上に三つの音、その下にホルン二本の音、さらに下にチューバの音が見えます。

リムコフ博士:そう。上の三声を一種類の楽器で作り、低い支えを別に組んでいる。これは、すでに完成したトロンボーンの和音へ、何となく低音を足しただけの図ではないよ。

役割・位置楽器と鳴らし方
上三声トロンボーン三本。各一本が一声を担当。
バスの上側ホルン二本のユニゾン。二本で同じ線を担当。
バスの下側チューバ。ホルンのバスを一オクターブ下で重複。

クマニコル:全部で六人ですが、六声の和音と考えればよいですか。

リムコフ博士:いいや。二本のホルンは同じ線で、チューバもそのバスのオクターブ重複だね。基本は上三声とバスの四声。その四声を、六人でこのように響かせているんだ。

第三トロンボーンを低音にする案とは、何が違う?

クマニコル:いつもは第三トロンボーンとチューバを、オクターブの低音にしています。そちらではいけませんか。

リムコフ博士:それも使われる配分だよ。ただ、その場合はトロンボーンのうち一本を低音へ使うので、残る二本だけでは上三声にならない。上のもう一声を、トランペット一本や、ユニゾンのホルン二本で作る形になる。

クマニコル:どちらも低音をオクターブにしますが、上三声を誰でそろえるかが違うんですね。

リムコフ博士:そのとおり。上三声をトロンボーン三本に任せたいなら、低音側の担当を組み替える。第三トロンボーンを低音に残すなら、上側の一声を別の金管に任せる。それぞれの担当を、和音全体として比べよう。

クマニコル:では、第三トロンボーンを上へ動かすとき、ほかの音は全部そのままでよいですか。

リムコフ博士:一人の担当が変われば、必要な声部をどこで受け持つかも変わる。元のバスを誰が引き継ぐのか、上三声がどう並ぶのかまで書き直して確認する。奏者名だけを交換して終わりにはしないことだね。

どのホルン和音にも、チューバを足すという意味ではない

クマニコル:ホルンとチューバを合わせてよいなら、ホルンだけの和音も、いつもチューバで補えば充実しそうです。

リムコフ博士:そこは条件が違う。ホルン四本で四声を作る場合は、それだけで釣り合い、バスのオクターブ重複を必須としない。いま見ているのは、上三声にトロンボーンを置いた金管全体の配分だよ。

クマニコル:「ホルンとチューバ」という二つの名前だけ切り出さず、上で何が鳴るのかも見る必要があるんですね。

リムコフ博士:そうだね。同じ低音の組み合わせでも、それを含む全体の響きと役割を考える。今回の配置を、ホルン四重奏の不足を埋める決まりへ変えてはいけない。

一つの和音から、進行へ広げるとき

クマニコル:この図の形がよければ、曲の和音も全部この配分にできますか。

リムコフ博士:図は出発点になるが、連続する音楽では各声部の進み方を確認しなければならない。とくに低いホルンへ急速なバスの動きを無理に任せないこと。縦に並んだ一つの和音と、前後へ動く声部は両方見るんだ。

クマニコル:トロンボーン三本を上へ使いたいなら、二本のホルンとチューバでバスのオクターブを作る。あとは旋律や和声進行の中で、本当にその担当が働けるかを確かめます。

リムコフ博士:うん。上三声をどの色でそろえたいかを先に決めると、低音側の仕事も具体的になる。各楽器の定位置を守ることより、和音全体の役割を組み立てよう。

ホルン四本だけで和声を作る場合の判断は、「ホルン4本の和音に、低音楽器を足す必要はある?」で扱っています。

出典:『管弦楽法の基本』第三章「金管楽器による和声」四声の書法。作曲場面を設定した会話は、記述をもとに構成しています。

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