木管の三度・六度の旋律は、同じ楽器でそろえるべき?
二本の木管で三度や六度の旋律を奏するとき、同じ楽器を二本使えばよいでしょうか。それとも、違う楽器を上下に置いた方が色彩的でしょうか。答えは、音程と、それぞれの線に求める性格によって変わります。
三度や六度の配分では、二つの旋律を一つのまとまりとして聞かせたいのか、色の違いも感じさせたいのかを考えます。 そのうえで、各楽器にとって自然な音域と、句全体の動きを確かめます。
三度と六度を、同じ二声として一括りにしない
二つの音がある点では共通していても、三度と六度では上下の距離が違います。そのため、音色をそろえることの意味も、異なる楽器を置くときの条件も同一ではありません。
リムスキーコルサコフ著『管弦楽法の基本』では、三度の場合は音色の同一性から同じ楽器のペアがよく、六度では異なる音色を使う選択も適していると説明されています。六度を同じ楽器で奏しても悪いわけではありません。
ここで覚えたいのは、三度なら必ず一種類、六度なら必ず二種類という形式的な規則ではありません。近い間隔でまとまる二声と、広い間隔を持つ二声では、音色を選ぶ出発点が違うということです。
まず、二つの線がどのような関係を持って聞こえてほしいかを考えます。上声だけを主旋律として浮かせたいのか、上下をよくそろった二声として聞かせたいのかで、必要な釣り合いも変わります。
三度では、同じ楽器のペアを基準にする
三度の旋律では、二本のフルート、二本のオーボエ、二本のクラリネット、二本のファゴットといった同種のペアが、音色をそろえる基準になります。
このとき、楽器の種類がそろっただけで、どんな高さでも均一になるとは考えないでください。木管は音域によって色や強さが変わるため、上下それぞれがどこを奏しているかを確認します。
同じ種類で近い高さを進んでいても、句の途中で音域の性格が変われば、一方の線だけが目立つことがあります。最初の和音だけで選ばず、旋律の最高音と最低音、その間の動きを見ます。
また、二本が同じ音を奏するユニゾンとも区別します。ここでは二つの異なる高さが、互いの関係を保ちながら動きます。人数を増やすだけの重複ではなく、二声の配分として考えましょう。
六度では、異なる音色を生かす余地がある
六度では上下の間隔が広がるため、異なる木管の組み合わせを選ぶ余地があります。フルートとオーボエ、フルートとクラリネット、クラリネットとファゴットなどが候補になります。
ただし、違う楽器を使えば自動的に色彩が豊かになる、という判断は避けます。二つの色が、旋律の性格と音域に合っているかが重要です。
同じ楽器のペアでも六度は扱えます。その場合には、異なる色の対比より、同じ種類の音色で二声をまとめる方向が基準になります。
二つの案を比べるなら、楽器の数や音の高さを同じにしたうえで、音色の関係として何を変えたいのかを明確にします。選択の理由が分かれば、単なる気分で楽器を入れ替えることを避けられます。
異なる楽器なら、自然な音域の順を確認する
異種の木管を三度や六度で組み合わせる場合は、自然な音域の順序を守ることが出発点になります。高い方にフルート、その下にオーボエやクラリネット、さらに低い方にファゴットを考えるような配分です。
順序を逆にして、低い楽器が高い位置、高い楽器が低い位置を奏すると、それぞれの音域の性格が強く現れ、不自然な関係として聞こえることがあります。
これは、譜面上の上下だけの問題ではありません。フルートの低音とファゴットの高音を近づける場合、同じ高さに近いからよく混ざるとは限らないということです。
音域の性格を詳しく確認したい場合は、フルートとオーボエは、高さを近づければ溶け合う?を参照してください。二声の旋律でも、音符の距離と音色の距離を分けて考えることが役立ちます。
一つの句に、三度・五度・六度が混ざることもある
実際の二声は、最初から最後まで同じ音程で進むとは限りません。三度と六度、あるいは三度・五度・六度が、句の中で入れ替わることがあります。

この図では、上下の音が同じ間隔を保ち続けるのでなく、進行の途中で距離が変わります。配分は、冒頭の一組だけを見て決めるのでなく、二つの線全体に対して考える必要があります。
ある瞬間には三度がよくそろい、別の瞬間には広い間隔になることもあります。そのたびに機械的に楽器を替えるのではなく、一つの句としてどんな色を保ちたいかを決めます。
瞬間の和音がきれいに混ざることと、句全体が自然につながることは、両方必要です。 音程の変化に伴って、どちらかの線が急に不自然な音域へ入らないかも確認しましょう。
途中で色を変えるなら、句の意味と合わせる
複数の木管がかわるがわる二声を担当する作例もあります。二声の形を保ちながら担当を替えることで、同じ種類の動きにも音色の変化を与えられます。
ただし、楽器を替える場所が音楽のまとまりと無関係だと、二声の旋律が途中で別のものに聞こえる可能性があります。句の反復なのか、新しい段階へ移るのか、単なる継続なのかを考えて配置します。
また、交代後も上下の関係が自然になるようにします。前の組み合わせが適切でも、次の組み合わせで片方だけ音域が苦しくなれば、同じようには響きません。
音色を切り替えること自体を目的にせず、旋律の形が変わる場所や、別の表情が必要な場所に結び付けると、二声のまとまりを保ちやすくなります。
それぞれの声部を、ユニゾンで補強する場合
二声の片方、または両方に複数の木管を重ねると、三度や六度を混合音色で奏することができます。たとえば、上声も下声もフルートとオーボエで重ねるような配分です。
この場合、まず上声と下声の二本の線を確認し、それぞれにどの楽器を参加させるかを考えます。楽器が四本になっても、音楽上は二声を重複している場合があります。
したがって、パート数が多くなったから和声が複雑になったとは限りません。どの楽器がどの線に属しているかを明確にし、片方だけ意図せず厚くなっていないかを見ます。
声部数とパート数の違いは、パートが8本あれば、8声の和声ということ?で整理しています。二声の重複でも、音楽の骨格と演奏人数を分けて読むことが必要です。
両声の混合色をそろえる案と、変える案
上下の両方に同じ組み合わせを使えば、混合音色としての共通性を持たせられます。一方、上をフルートとオーボエ、下をフルートとクラリネットにするように、構成を変える案もあります。
前者では、二つの線を同じ色のまとまりとして考えやすくなります。後者では、共通する楽器を持ちながら、片方に別の色が加わります。原典には、こうした複合的な組み合わせが挙げられています。
ただし、組み合わせが複雑になるほど、もとの個々の楽器の性格ははっきりしなくなります。多くの色を混ぜることを、常に表現の増加と考えるべきではありません。
二声の輪郭を明瞭にしたいなら単純な配分を基準にし、混合した響きが必要なときだけ人数や種類を増やします。新しい楽器が何のために入るのかを説明できることが、配分を整理する助けになります。
和音配置の記事とは、見る対象が違う
ここで扱っているのは、三度や六度で動く旋律の関係です。四声の和音を木管へ配るときの、堆積、交叉、囲い込みといった配置とは、問題の中心が異なります。
二声の旋律では、上下それぞれのフレーズが続いて聞こえることと、両者が一つの組として動くことを考えます。和音配置では、和声全体の混ざり方や各音の釣り合いが中心になります。
両者には音域と音色という共通の条件がありますが、和音でよい配置を、そのまま動く二声のすべてへ当てはめることはできません。
和音の上下の並べ方を調べたい場合は、木管の和音で、楽器の上下を入れ替えるのは何のため?へ進んでください。何を聞かせるための配置かを分けると、知識を混同せず使えます。
二声を端から端まで読んで、配分を決める
最初に、三度と六度のどちらが中心かを見ます。三度では同種のペアを音色の基準にし、六度では異種の組み合わせも候補にしながら、句の性格に合う方を考えます。
次に、上下それぞれの最高音と最低音を確認します。自然な音域の順を保っているか、途中だけ一方の音色が突出しないかを見ます。
最後に、重複を増やす必要があるかを判断します。二本で十分な線に、理由なく混合色を足していないかを確かめます。
この順序なら、同じ楽器にそろえるか、違う楽器を組み合わせるかを、音程だけの規則ではなく、二声の音楽を聞かせるための選択として決められます。
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