【会話で学ぶ】ピッコロを足すと高すぎる?フルートと同じ実音で重ねる方法
クマニコル:フルートの旋律にピッコロを足したいのですが、一オクターヴ上へ広げると高くなりすぎます。必ず上に置くのでしょうか?
リムコフ博士:必ず一オクターヴ上に置く必要はない。フルートと同じ実音にピッコロを重ね、旋律の上限を増やさずに音色を混ぜる実例があるぞ。ただし、その高さをピッコロでも演奏できることと、必要な強弱に合うことが前提じゃ。
譜面では低く見えても、実音は同じ
第2巻No.65は『アンタール』第1版、第3楽章冒頭です。第1巻では、上から「ピッコロ+フルート2本」「オーボエ2本+クラリネット2本」「ファゴット」という、三つの高さに旋律を重ねる例として示されています。まず冒頭の2小節を見てください。

クマニコル:一番上の Fl. picc. は、次の Fl. より低い音に見えます。これで同じ高さなのですか?
リムコフ博士:ピッコロは書かれた音より一オクターヴ高く鳴る。したがって、フルートより一オクターヴ低く書けば、同じ実音になるのじゃ。逆に、二つの譜表へ同じ高さの音符を書けば、実音ではピッコロが一オクターヴ上になる。
クマニコル:総譜の段の上下や、音符の見た目だけでは判断できないんですね。
リムコフ博士:その通りじゃ。この例の冒頭では、ピッコロと2本のフルートが上の一層を作っている。ピッコロがいることと、フルートの上に新しい層があることは同じではないのじゃ。
同じ高さへの追加と、上のオクターヴへの追加を選び分ける
クマニコル:同じ実音で重ねるなら、何を目的に選ぶのでしょう?
リムコフ博士:旋律をさらに高く広げることではなく、今ある高さに複数の楽器の音色を集めることになる。ここでの問いは「上の音域がもう一段必要か」じゃ。必要ならオクターヴの拡張を考えるし、高さを保ったまま重ねたいなら、同じ実音という選択を検討できる。
| 選ぶ配置 | 実際に変わること |
|---|---|
| ピッコロとフルートを同じ実音にする | 同じ高さに音色を重ねる。ピッコロの記譜はフルートより一オクターヴ下。 |
| ピッコロを実音で一オクターヴ上にする | 旋律を上へ広げる。両者の記譜音が同じでも、実音にはオクターヴ差がある。 |
クマニコル:では、同じ実音なら、いつでも穏やかな響きになるのでしょうか?
リムコフ博士:そうとは言えん。高さを増やさないことと、音を柔らかくすることは別じゃ。この譜例の木管には ff が付いている。静かなフルート・ソロに何となくピッコロを添えるための万能な配合として読まず、力強い木管の重複の実例として見るのがよい。
下の木管と金管は、何を受け持つ?
クマニコル:上の一層だけでなく、下も同じ旋律を動かしていますね。
リムコフ博士:上の混合音色の一オクターヴ下に、オーボエとクラリネットがある。さらにその下のオクターヴをファゴットが受け持つ。楽器名は五種類でも、旋律の高さを五段に分けているわけではない。実音で三つの層として読むと配置がつかめる。
クマニコル:金管まで同じ細かい旋律にしなくてもよいのですね。
リムコフ博士:この譜例の金管は、木管と同じ細かさで旋律をなぞらず、より長い音価で進んでいる。ホルンやトランペット、トロンボーンとチューバの段を横に追うと、その違いが見える。細かな旋律を重ねる部分と、それを支える別の動きを分けているのじゃ。
ピッコロを加える前に確かめたい三つのこと
クマニコル:自分の曲では、どんな順で判断すればよいですか?
リムコフ博士:まず、最高音を上へ広げたいのか、今の高さのまま色を重ねたいのかを決める。次に、その実音がピッコロの使える範囲と求める強弱に合うかを確かめる。最後に、移調を反映して記譜する。この順なら、「同じ音符を書いたつもりが、上のオクターヴを足していた」という取り違えを避けられる。
クマニコル:「ピッコロを使う」と「もっと高くする」を分けて考えられそうです。
参照:『管弦楽法の基本』第1巻「木管楽器のオクターブ重複」「3オクターブ以上に渡るオクターブ重複」、第2巻No.65。作品の版は譜例表記に従い第1版としています。譜例の第3小節にはフルートとファゴットの休符など、旋律の細部の違いもあります。「重複」を、全音価が最後まで完全に一致するという意味には用いていません。選択の順序は原典の配置をもとにした学習上の整理です。
上のオクターヴへ広げる配置の基本は、ピッコロとフルートのオクターブが自然なのはなぜ?で解説しています。
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