【会話で学ぶ】ヴィオラの旋律をチェロで伴奏するには?4声のdivisiと低音の分担
クマニコル:ヴィオラに長く歌う旋律を任せたいんです。チェロは旋律の補強に使うより、伴奏に回したいのですが、どんな書き方がありますか?
リムコフ博士:一つの方法は、チェロを4声に分け、長く保つ低い音と、その上の和声音を分担させることじゃ。さらにコントラバスを少人数のピッツィカートにして、要所だけ低音を添える実例がある。ヴィオラを歌わせる線として残し、下の弦を和声と低音へ分けるのじゃ。
『金鶏』ではヴィオラを歌わせ、チェロを4声に分ける
『管弦楽法の基本』第1巻のヴィオラの項目は、第2巻No.5『金鶏』練習番号193を、流れるようなcantabileの例として挙げています。以下では、旋律の性格に加え、実際の譜面に書かれた伴奏の分担を読みます。

クマニコル:一番上の V-le. がヴィオラですね。小さな音で、細かく動く旋律が続いています。
リムコフ博士:p で始まり、dolce ed espressivo、甘く表情豊かに、という指定がある。ヴィオラは短い特徴的な音型だけの楽器ではない。この例では、スラーでまとまった流れを持つ旋律を担っている。
クマニコル:その下のチェロは、二段しかないように見えるのですが、なぜ4声なのですか?
リムコフ博士:V-c. div. a 4という指定と、上の段の I・II、下の段の III・IVを見るのじゃ。チェロを四つに分け、二つの譜表へまとめて書いてある。譜表が二段だから二声、という読み方はできん。
チェロの低い一声は持続し、その上は別のリズムで動く
クマニコル:4声とも、同じ和音を同じリズムで弾くのでしょうか?
リムコフ博士:一番低いチェロの声部を追ってみよう。長い音がタイでつながっている。一方、その上の声部には休符や、短く区切って鳴らす和声音がある。つまり、低い一声を保ちながら、上の和声は別の時間の形で進むのじゃ。
クマニコル:和声を4声にしても、全員を同じ刻みにそろえなくてよいんですね。
リムコフ博士:そうじゃ。ただし、上の声部もいつも同じ刻みではない。二分音符で保つ小節や、スラーで動くところがある。低い持続声部と、その上の和声の動きを分けて読むことが大事なのじゃ。
コントラバスの「4 soli」は、4声に分ける意味ではない
クマニコル:一番下にも4という数字があります。コントラバスも4声でしょうか?
リムコフ博士:そこには C-b. 4 soliとある。こちらは4人のコントラバスを指定しており、チェロの div. a 4とは意味が違う。掲載譜例のコントラバスは、一つの線をピッツィカートで奏している。声部数と奏者数を分けて読もう。
クマニコル:同じ4でも、和声の数を決める数字と、鳴らす人数を決める数字なのですね。
リムコフ博士:さらに、コントラバスには小節全体の休みもある。チェロの低い持続音を、毎小節ずっと重ねてはいない。低音を添える場所と、添えない場所が選ばれておる。チェロで和声を作ったあと、コントラバスを自動的に全音へ足さない例として参考になる。
| 担当 | 譜例での仕事 |
|---|---|
| ヴィオラ | p、dolce ed espressivo の流れる旋律。 |
| チェロの上側の声部 | 休符、区切った和声音、持続や声部の動きを組み合わせる。 |
| チェロの最下声部 | タイでつながる低い持続音。 |
| コントラバス4人 | p のピッツィカート。発音する小節と休む小節を分ける。 |
この配分を選ぶ条件は?
クマニコル:自分の曲でも、そのままチェロを4声にすればよいでしょうか?
リムコフ博士:まず、ヴィオラの線を聞かせながら、その下に持続する音と和声の動きが両方必要かを考えよう。その役割があるなら、この分担を検討できる。ただ和音を厚くするために四つへ分けるのとは違うぞ。
クマニコル:少人数の弦楽編成でも、同じように考えられますか?
リムコフ博士:奏者数を確かめる必要がある。divisiは、セクションの奏者を複数の声部へ分ける指定じゃ。四つに分けた後、各声部を何人で弾くのかを考えねばならん。この譜例の人数指定をそのまま当てはめず、自分の編成で旋律と伴奏の釣り合いを確認するのじゃ。
クマニコル:チェロでヴィオラの旋律を太くする以外にも、下の和声を作って歌を支える使い方がわかりました。
出典:『管弦楽法の基本』第1巻「弦楽器によるメロディ」のヴィオラの項目、第2巻No.5。伴奏の説明は掲載譜例の分析です。低音の参加位置や、divisi後の人数を確認する手順は、原典の実例から整理した学習上の補足です。図の音符・奏法・強弱指定は改変していません。
旋律を同じ高さで重ねる選択については、ヴィオラとチェロを同じ旋律に重ねると、どちらの色が残る?で扱っています。
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