【会話で学ぶ】静かな旋律に重厚感を出すには?弦・木管・ホルンを重ねる方法

音量を上げる場面ではないけれど、旋律が軽く通り過ぎてほしくない。小さい音のまま、重みを持たせたいときはどうするか。弦・木管・金管を重ねる具体的な配分から考えます。

クマニコル:博士、静かな旋律に重い存在感が欲しいんです。でも、大きくすると場面が盛り上がりすぎてしまいます。

リムコフ博士:クマ君、音量と音色の重さを分けて考えてみよう。弦、木管、金管の三群による重複は、大音量の場面だけでなく、ピアノで重い音色が欲しい場合にも使える。

クマニコル:三つの楽器群を使っても、必ず強い山場にするわけではないんですね。

リムコフ博士:そうだよ。ただ、弱く指定すれば軽い独奏と同じになるわけでもない。多くの音色が一つの旋律に参加する、そのまとまり自体を表現として選ぶんだ。

ヴィオラ、クラリネット、ホルンで同じ線を重ねる

クマニコル:まず、一つの具体的な組み合わせを知りたいです。

リムコフ博士:たとえばヴィオラ、クラリネット、ホルンを同じ旋律へ重ねる組み合わせがある。弦の一声、木管の一声、金管の一声で、一つの線を作ると考えてみよう。

役割・位置楽器と鳴らし方
弦の担当ヴィオラ。旋律の線に参加する。
木管の担当クラリネット。同じ旋律を重ねる。
金管の担当ホルン。同じ旋律を重ねる。
今回の表現三群による混合を、ピアノで重い音色が必要な場面の候補として考える。

クマニコル:三つの楽器へ別々の和声音を配るのではないんですね。

リムコフ博士:今回は一つの旋律の重複だよ。三声の和声を作る話とは分けよう。どの楽器も同じ線に参加しながら、全体の音色と厚みを作っている。

原典は三群のユニゾン重複の例として、ヴィオラ(またはチェロ)+クラリネット(またはイングリッシュホルン)+ホルンを挙げています。表はその中から一組を取り出したものです。音名や旋律を新たに作った総譜ではありません。

木管は、単なる人数の追加ではない

クマニコル:弦とホルンだけで十分なら、クラリネットを足す意味は何ですか?

リムコフ博士:三群の混合では、木管が加わることで響きが豊かになり、弦と金管だけの場合より溶け合いやすくなる。人数だけでなく、間に加わる音色の働きを見たいね。

クマニコル:どの楽器の音が一番前へ出るのですか?

リムコフ博士:参加する楽器の数によって、中心になる音色も変わるよ。弦・木管・金管という三つの名前だけで、いつでも同じ割合の響きになるとは考えないことだ。

クマニコル:同じ三群でも、誰をどれだけ重ねるかまで見ないといけませんね。

リムコフ博士:その通り。今回は重い混合音を選んでいる。もとのヴィオラだけの色を、そのまま小さく保つこととは目的が違うんだ。

弱奏でも、弦・木管・ホルンの重複で旋律に重みを持たせる

クマニコル:静かにしたいときは、できるだけ一人へ任せるものだと思っていました。

リムコフ博士:個人の表情を聴かせたいなら、それはよい選択になる。でも、今回は小さい音で重いまとまりを作りたい。人数を減らすことだけが答えではないね。

クマニコル:弱いtuttiのような考え方ですか?

リムコフ博士:三群のこうした重複は、一種のtuttiとして考えられる。大きな編成が弱く鳴ると、小さな編成の弱音では置き換えにくい、独特で不穏な表情を作ることもできるよ。

クマニコル:音量は控えめでも、響きの中身は大きなまとまりなんですね。

リムコフ博士:そう。ただし、強い全奏が普通に持っている効果とは区別して使いたい。強弱記号を小さくしただけで、自動的に狙った表情になるのではない。どの色が混ざっているかを確認しよう。

重みを得る代わりに、何が後ろへ退く?

クマニコル:この配分が合えば、旋律はずっとこのままでよいでしょうか?

リムコフ博士:使い続けることは別に考えたいね。重複する楽器が多いほど、個々の音色の特徴は後ろへ退く。大きな混合音をいつも使うと、その効果も薄れていく。

クマニコル:重い存在感が必要な場所を選んで、ほかでは別の色を残すんですね。

リムコフ博士:うん。ある場所だけで混合音を使えば、その前後の単独の色や、別の組み合わせとの違いを作れる。小さい音量だから使い続けても変化を失わない、とは限らないんだ。

大きくする前に、ほしい重さを言葉にする

クマニコル:書き直すときは、まず「大きくしたい」のか「軽さをなくしたい」のかを分ければよいでしょうか?

リムコフ博士:それがよい出発点だよ。今回のように静かな重さが欲しいなら、ヴィオラ、クラリネット、ホルンの同じ線を、弱い混合音として考えられる。逆に、一つの楽器の繊細な表情が欲しいなら、重複を増やすことが答えとは限らない。

クマニコル:音量を上げなくても、旋律の担い手を変えることで考え直せそうです。

リムコフ博士:そう。静かという言葉だけで編成を決めず、静かな中に何の質感が欲しいかまで決めよう。音量と音色の重さを分けると、編曲の選択が具体的になる。

tuttiの基本的な捉え方は、通常解説「tuttiは、本当に全楽器を鳴らすという意味?」で説明しています。

出典:『管弦楽法の基本』第2章「旋律」三群の混合、弦と金管の重複、第4章「フルTuttiと部分Tutti」(付されたCOMMENTを含む)。作曲場面を設定した会話は、記述をもとに構成しています。

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