【会話で学ぶ】総譜の勉強を編曲に生かすには?楽器名だけで終わらない読み方

クマニコル:博士、勉強のために総譜を読んでいます。でも、「ここはフルート、次はホルン」と楽器名を追うだけで終わってしまいます。自分の編曲に使えるようになるには、何を見ればよいのでしょう?

リムコフ博士:クマ君、楽器名が分かったら、その響きを聴いたときに何が起きているかを確かめよう。総譜を読むことと、オーケストラを聴くことをつなげるんだ。誰が鳴るかだけでなく、なぜその場所でその色が必要なのかを考えてみよう。

クマニコル:楽器の組み合わせをたくさん覚えれば、使える引き出しが増えると思っていました。

リムコフ博士:組み合わせを知るのは大切だよ。ただ、同じ組み合わせでも、使う高さや強さ、前後の流れによって役目は変わる。「この楽器とこの楽器を合わせる」という答えだけを持ち帰ると、別の場所へ置いたときに理由を失ってしまう。

一度に全部を理解する課題にしない

クマニコル:では、総譜のすべての段を、同時に理解しなければなりませんか?

リムコフ博士:最初から複雑な響きの全部を解こうとせず、単純なものから段階的に進むとよい。まず一つ、耳で気になった効果を選んでごらん。静かな和音が急に厚くなるところでも、一つの音色が印象的に現れるところでもいい。

クマニコル:僕は、しばらく聴いていると突然オーボエがとても新鮮に聞こえる場所が気になります。そこでの音符を調べればよいですね。

リムコフ博士:そこがよい出発点だね。ただ、その小節だけで答えが出るとは限らない。オーボエが現れる前に、どれくらい使われていたかも見てみよう。長く休んだあとの登場なら、珍しい組み合わせでなくても、その色が新鮮に響くことがある。

効果的なオーケストレーションは、その直前の編成も読む

クマニコル:印象的な音の秘密が、その音を鳴らしていない場所にあるのですか?

リムコフ博士:そういうこともあるよ。鳴っている瞬間を切り抜くだけでは、音色を休ませた時間が見えない。総譜を少し前へ戻し、今の登場がどう準備されてきたかを確かめる。聴くときにも、その前からつなげてみよう。

クマニコル:その一小節だけ自分の曲で同じ配分にしても、同じ新鮮さにはならないわけですね。

リムコフ博士:うん。持ち帰りたいのは、楽器の組み合わせだけでなく、その効果が成り立った条件だ。「オーボエのこの音がよい」から、「休ませていた色をここで聴かせると新鮮になる」へ理解が進めば、自分の曲でも考えられるようになる。

音色を休ませる効果自体は、通常解説の「音色を使い切らずに残す」考え方に関連します。

読んだことを、耳で確かめられる問いにする

クマニコル:和音のところを勉強するときは、どうすればよいでしょう?

リムコフ博士:たとえば「この和音は一つのまとまりとして聞こえるのか、特定の線が前へ出るのか」という問いを持って聴こう。その後で、担当、音域、重複、配置を調べる。譜面に書いてある条件と、聴いた効果を結び付けるんだ。

クマニコル:先に「正しい配置を発見する」という目で見ていました。

リムコフ博士:基本原則を確認することも必要だね。でも、作例は試験の正答集ではない。背景として均一に響かせる場面と、一声を目立たせる場面では、望む結果が違う。狙いを確かめずに配置だけ採点すると、その例が何をしているかを取り違える。

クマニコル:自分には一声だけ強く聞こえたのに、譜面では同じ強弱が付いていることもあります。

リムコフ博士:その食い違いを、次に調べる問いにすればいい。記号だけでなく、その楽器にとってどんな高さなのか、同じ音をほかの楽器も重ねているのかを見る。全部を一度で説明しようとせず、気づいた違いの理由を一つずつ探そう。

複雑な作品でも、選ぶ場所は単純でよい

クマニコル:勉強には、曲全体が簡単な作品しか選ばない方がよいですか?

リムコフ博士:作品全体の複雑さと、勉強する一節の分かりやすさは分けて考えられる。大きく複雑な作品にも、明快な配分を聴ける場所はある。まず、自分の今の問いに対して条件を追える一節を選ぼう。

クマニコル:有名な難曲を丸ごと読み切ることを目標にしなくてもよいのですね。

リムコフ博士:そうだね。一節から学び始めてもよい。ただし、その効果の理由が前後にあるなら、見る範囲を広げる。短く切れば常に分かりやすいわけでも、長く読めば必ず深く分かるわけでもない。問いに必要な範囲を読むんだ。

今回の答え:配分と、聴こえた効果と、その条件を結ぶ

クマニコル:次は「この音色が、なぜここで新鮮に聞こえるのか」を調べます。登場前から聴いて、休符も含めて総譜を追ってみます。

リムコフ博士:いいね、クマ君。読み終わったら、「何が起きたか」「どんな配分だったか」「どんな前後関係だったか」を、自分の言葉で説明してごらん。それを自分の曲で使うときには、その条件があるかを確かめる。総譜から得た知識が、楽器名の記憶から、編曲の判断へ変わっていくよ。

出典:『管弦楽法の基本』著者による前書き(1891年版)、第三章「木管楽器の和声」、第四章「様々な装飾―音色の節約」。作曲場面を設定した会話は、記述をもとに構成しています。

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