【会話で学ぶ】三度の旋律をオクターブでも重ねるには?ヴァイオリンをdivisiする配置

三度で歌う二本の線ができた。その二声の響きを残して、弦の音域をもう少し広げたい。上の旋律だけを増やすのか、二声とも重ねるのか――原典のdivisiによる配分を読みます。

クマニコル:博士、三度で動く弦の旋律を、もう少し豊かにしたいんです。一オクターブ下にも重ねるなら、上の旋律だけを増やせばよいですか。

リムコフ博士:クマ君が聴かせたいのは、上の一本かな。それとも、三度で進む二声の組かな。二声のまとまりを保って広げるなら、三度の組全体をオクターブで重ねる配分を考えよう。

クマニコル:今回は二声の組をそのまま聴かせたいです。上下の一方だけが強くなるのは違いますね。

リムコフ博士:それなら、第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンを、それぞれdivisiして三度を作る方法がある。第一の三度の組を、第二が一オクターブ下でも奏するんだ。

三度の二声を一組にして、上下のオクターブへ配る

《見えざる町キーテジと聖女フェヴローニャの物語》練習番号34(原典譜例No.34)の配分として示される形です。

役割・位置楽器と鳴らし方
高い側の三度の組第一ヴァイオリンを二つに分け、上声と下声を担当。
一オクターブ下の三度の組第二ヴァイオリンを二つに分け、同じ二声を一オクターブ下で担当。
『管弦楽法の基本』第2巻 No.34:キーテジ・練習番号34:分奏したヴァイオリンの三度とオクターブ
『管弦楽法の基本』第2巻 No.34:キーテジ・練習番号34:分奏したヴァイオリンの三度とオクターブ(画像を押すと拡大)

リムコフ博士:最初の段で、第一ヴァイオリンの二音と、その下へ入る第二ヴァイオリンの二音を見よう。両方にdiv.の指定があり、三度の組がオクターブで対応している。上の一音だけを増やす配分との違いが、ここに表れているね。

クマニコル:つまり、第一全員が上の旋律、第二全員が下の旋律、という配分ではないのですね。

リムコフ博士:そう。その配分なら三度の二声を二つのセクションで奏している。いまの案では、第一の中にも三度、第二の中にも三度があり、その二組がオクターブで対応している。まず、この違いを総譜で追おう。

クマニコル:上の線同士がオクターブ、下の線同士もオクターブになる。二声それぞれが広がるんですね。

リムコフ博士:その読み方でよいよ。四つの高さが見えていても、まったく別の四旋律を足したわけではない。もとの二声と、それを重ねる声部の関係を保っているんだ。

第一と第二の人数が違っても、三度は成り立つ?

クマニコル:でも第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンは、人数が同じとは限りません。上下の組が不均等になりませんか。

リムコフ博士:この三度のオクターブ重複では、第一と第二の奏者数が異なっていても、三度は均等に聴こえると考えられている。人数が同じでないという理由だけで、この形を外す必要はないよ。

クマニコル:同じ三度の組を、同じ種類の楽器で作っていることが大切なんですね。

リムコフ博士:うん。弦の三度では、二声の音質をそろえるのが基本だ。この配分では各組をヴァイオリンで作りながら、全体の高さを広げている。

クマニコル:人数差を気にしなくてよいなら、小さい編成でもどんどん分けてよいでしょうか。

リムコフ博士:そこは別の条件だよ。divisiすると、一つの線を奏する人数は減る。小編成で細かく分けたときの音の弱さや、周囲との釣り合いは、改めて確かめなければならない。二つの組の人数差が許容されることと、各線の人数が十分なことを混同しないようにしよう。

六度の二声にも、同じ分け方を使う?

クマニコル:次のフレーズは六度で動くので、そこも同じ方法で広げればよいですね。

リムコフ博士:三度の場合の説明を、そのまま六度へ移すのは避けよう。原則として、このような三度のオクターブ重複と、六度のオクターブ重複は同じ扱いではない。音程が変われば、配置の条件も変わるんだ。

クマニコル:二本の線がある、というだけで同じ配分にはできないのですね。

リムコフ博士:そう。三度の音質のそろい方を生かす案として理解しよう。また、ヴィオラとチェロでも三度をさらにオクターブで重ねる配分は可能だが、これも三度の話として読む必要がある。

厚くなったかだけでなく、二声が保たれたかを見る

クマニコル:書き終えたら、何を確認すればよいですか。

リムコフ博士:まず、もとの二声のどちらを、誰がどの高さで重ねているかを確かめる。次に、各線の使用音域と人数を見る。そして、音が増えたあとも三度の組として聴かせたい関係が保たれているかを考えよう。

クマニコル:第一と第二をそれぞれ二つに分け、三度の二声を一組として上下に置く。上の旋律だけを目立たせたい場合とは、目的が違うんですね。

リムコフ博士:そのとおり。二声を厚くしたいなら、一本の旋律を増やす発想だけで考えない。もとの三度の関係を保つための重複として、各声部の担当を決めよう。

単旋律を一オクターブで重ねる場合は、弦のオクターブとdivisiの使い分けで説明しています。

出典:『管弦楽法の基本』第二章「弦楽器によるメロディ」三度または六度による重複(《見えざる町キーテジと聖女フェヴローニャの物語》練習番号34、譜例No.34)、第一章「弦楽器」divisiの説明。作曲場面を設定した会話は、記述をもとに構成しています。

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