【会話で学ぶ】ティンパニの細かな反復にアクセントを重ねるには?『ムラダ』の二つのリズム
クマニコル:ティンパニで細かな反復を続けながら、ときどき強い打点も入れたいです。反復音を全部強くすればよいでしょうか?
リムコフ博士:反復の流れと、目立たせたい打点を別の声部として書く方法がある。『ムラダ』には、弱い連続音と、休符を挟むアクセントを二段に分けた例がある。全部を同じ強さへ上げる前に、二つの仕事を区別しよう。
4台のティンパニに、二種類の動きを与える
『管弦楽法の基本』第2巻No.78は『ムラダ』第3幕の一節です。第1巻「木管と金管の重複」で参照される総譜ですが、ここでは「4 Timp.」の二段を分析します。原典が示すティンパニの広い強弱の幅を、具体的な複数声部の書法と結び付けて見ていきます。

クマニコル:上の組段の中央に、ティンパニの五線が二段ありますね。
リムコフ博士:上段の(I.)は休符が多く、音にはアクセントが付く。最初の入りには mf がある。一方、下段の(II.)は pp で細かな音を繰り返す。二段の音符をひとまとめに「激しいティンパニ」と読まないことじゃ。
| 最初の組段 | 音の並び | 指定 |
|---|---|---|
| 上のティンパニ声部 | 休符を挟む短い打点 | mf、アクセント |
| 下のティンパニ声部 | 細かな連続音型 | pp |
細かな音符は、長いトレモロとは違う
クマニコル:下段は、弱いロールを続けていると考えてよいですか?
リムコフ博士:この譜例には、音の高さとリズムを持つ細かな音型が書かれている。長い音にトレモロ記号を付けて持続させる形とは違う。小節の中でどの高さを、どの順番で鳴らすかまで読もう。
クマニコル:ただ一定の響きを敷くのではなく、伴奏の運動を作っているのですね。
リムコフ博士:そうじゃ。そこへ別の声部が、休符を挟みながらアクセントを加える。反復音型を毎回大きくすれば、この強弱の分担そのものが変わってしまう。
コントラバスと同じリズムを刻んでいるわけではない
クマニコル:低い楽器同士だから、ティンパニはコントラバスを重ねているのでしょうか?
リムコフ博士:譜例のいちばん下を見よう。コントラバスには ppの長い低音がある。ティンパニの下段のように細かく刻んではいない。低音を保つ役割と、細かな発音を続ける役割が分かれているのじゃ。
クマニコル:ファゴットやチェロにも、動きがありますね。
リムコフ博士:ファゴットには細かな音型が続き、チェロは初め、休符や短い音を含む別の形で参加する。ティンパニだけでリズム全体を説明せず、持続する低音、動く管弦の声部、二種類の打楽器の動きを並べて読むと配分が見えてくる。
下の組段では、五線の上下だけで役割を決めない
クマニコル:二つ目の組段を見ると、最初の二小節は上のティンパニに細かな音があります。
リムコフ博士:よく見つけた。下の組段では、最初の二小節は上側が細かな音型、下側が休符の多い打点になっている。その後は下側に細かな音が戻る。「上段は常にアクセント」と覚えるのでなく、その時点の音符と指定を読むことじゃ。
クマニコル:担当が変わったから、すぐに音楽の役割まで逆になるわけではないのですね。
リムコフ博士:そうじゃ。見るべきなのは、連続する音型と、間を空けた打点の関係だ。総譜の位置だけから、音の強さや役割を決めつけないようにしよう。
自分の編曲では、二つのリズムを別々に確認する
クマニコル:この方法を使うなら、どちらから書くのがよいでしょう?
リムコフ博士:まず、続けたい反復音型を決めよう。そのうえで、どの瞬間に別のアクセントが必要かを選ぶ。この順序は学習上の確認方法じゃ。反復を外しても打点の意図が分かるか、打点を外しても反復の流れが分かるかを、それぞれ確かめるとよい。
クマニコル:二つが同時に鳴る場所では、全体の強さも確認します。
リムコフ博士:その通り。また、この例は4台のティンパニを前提にした総譜じゃ。音数が書けるからといって、手元の台数や奏者の配置でそのまま実現できるとは限らない。必要な音高、同時に打つ音、担当の分け方を確認しよう。ここから現代の奏者一人の限界を断定してはいけないぞ。
クマニコル:反復を強くする案だけでなく、反復は弱く保って、別の打点を加える案も比較できるのですね。
リムコフ博士:そうじゃ。全部の音を強くすることと、強調したい場所を選んで別の声部を加えることでは、リズムの姿が変わる。この二つを区別すると、ティンパニの編曲にも具体的な選択肢ができる。
出典:『管弦楽法の基本』第1巻「ティンパニ」「木管と金管の重複」、第2巻No.78。二つのリズムと周囲の声部の説明は譜例の分析です。自作での点検手順は学習上の補足であり、この総譜の台数・配分を一般的な編成条件とはしていません。
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