【会話で学ぶ】ハープの伴奏を休ませても大丈夫?和音の間をほかの楽器で支える方法

クマニコル:ハープを入れると、つい毎小節アルペジオを書いてしまいます。ところどころ和音を鳴らすだけでは、伴奏が途切れませんか?

リムコフ博士:ハープが休む間にも、旋律、伴奏の動き、和声の支えをほかの楽器が担っていれば、ハープを鳴らし続ける必要はない。短い和音を置く場所と、その間を支える場所を分けて考えるのじゃ。

『シェエラザード』では、ハープの和音の間に三小節の休みがある

第2巻No.90『シェエラザード』第4楽章Uは、第1巻「弦と木管の重複」で、クラリネット2本と、その1オクターブ下のチェロ+ホルン2本の組み合わせとして参照されます。ここでは、その旋律を囲む伴奏、とくにハープの休符に注目します。

第2巻No.90『シェエラザード』第4楽章U。ハープは和音のあと三小節休み、ほかの楽器が旋律、反復音、持続和音を続ける。
『管弦楽法の基本』第2巻No.90『シェエラザード』第4楽章U、原書95頁。画像を押すと拡大できます。

クマニコル:Arpa. の二段ですね。最初の和音には、縦の波線が付いています。

リムコフ博士:そうじゃ。アルペッジョの指定が付いた和音を鳴らし、その小節の残りは休む。その次は三小節続けて休符になり、掲載部分の右端で再び和音を鳴らす。ここでは、冒頭の短い小節ではなく、Uからの小節を数えているぞ。

クマニコル:三小節も休むなら、ハープのアルペジオを別の楽器へ渡しているのですか?

リムコフ博士:ハープの音型をそのまま交代で弾くわけではない。最初からほかの楽器にも、それぞれ違う仕事がある。ハープが抜けたあとに何が残るか、総譜を縦に見よう。

高い反復音と、ゆったりした旋律が別々に続く

クマニコル:いちばん上の木管とヴァイオリンには、細かな音がたくさんあります。

リムコフ博士:ピッコロ、フルート、第1・第2ヴァイオリンには、細かな反復音を含む動きがある。ハープが休んでも、その運動は続く。ハープに毎小節の分散和音を追加しなくても、伴奏の細かさを保つ担当がすでにいるのじゃ。

クマニコル:では、歌うような旋律はどこですか?

リムコフ博士:クラリネットの段と、ホルンの上段、チェロを比べよう。原典本文が示す中心の配分は、上にクラリネット2本、その1オクターブ下にチェロとホルン2本じゃ。細かい上の動きと、この旋律を同じ仕事として数えないことが大切になる。

和声も、ハープの余韻だけに任せていない

クマニコル:動きと旋律は残っても、和音の厚みはハープ頼みではありませんか?

リムコフ博士:オーボエやホルンの下段には長い音がある。コントラバスも低音を持続する。ファゴットには動く線と長い低音が併記されている。ハープの和音が減衰したあとにも、別のパートが和声を保つ構成なのじゃ。

ハープが休む間の仕事譜例で確認する場所
旋律クラリネット、ホルンの上段、チェロ
細かな反復を含む動きピッコロ、フルート、第1・第2ヴァイオリン
長い和声・低音オーボエ、ホルンの下段、ファゴットの低音、コントラバス
短い発音による動きピッツィカートのヴィオラ

クマニコル:ヴィオラまでハープと同じところだけ鳴るわけではないのですね。

リムコフ博士:そうじゃ。ヴィオラには pizz. の短い音があり、ハープの休む小節にも続く。ハープを休ませることと、短い発音を全部取り去ることも違うのじゃ。

ハープのfを、合奏全体の強奏と読み違えない

クマニコル:ハープの最初の和音は f ですね。全員がそこから強くなる場面でしょうか?

リムコフ博士:ほかの多くのパートは p から始まり、ヴィオラは mf と書かれている。しかも周囲にはクレッシェンドやディミヌエンドがある。ハープの f だけを見て、全員が強い和音を打ってから一斉に弱くなる場面だとは考えないことじゃ。

クマニコル:ハープは短く参加し、ほかの楽器はそれぞれの線を続けるのですね。

リムコフ博士:その通り。ここで学びたいのは、ハープの出番の少なさと、周囲の音楽の充実が両立していることじゃ。ハープの強弱記号だけで存在感が決まる、と言っているわけではないぞ。

毎小節鳴らす案と、区切りに置く案をどう選ぶ?

クマニコル:自分の曲でも、四小節に一度だけハープを鳴らせばよいですか?

リムコフ博士:四小節という間隔は、この掲載部分の配置であって規則ではない。旋律のまとまりや和声の動きに応じて、どこでハープの発音を加えたいかを選ぶのじゃ。機械的に小節を数えて置くと、必要のない位置まで強調しかねない。

クマニコル:まずハープを外して、残る伴奏を確認すればよさそうです。

リムコフ博士:旋律は続くか、必要な低音と和声があるか、残したい運動を誰かが担当しているかを確認しよう。この三つが成立していれば、ハープを区切りにだけ加える案を比較できる。反対に、ハープが伴奏の動きを一手に担っているなら、休ませたあとの空白を別に検討する必要がある。

クマニコル:音符を埋めるために鳴らすのではなく、ハープを加えたい瞬間を選ぶのですね。

リムコフ博士:そうじゃ。連続するアルペジオも、ところどころの和音も選択肢になる。どちらを選ぶかは、ハープのない時間に何が聴こえるかまで考えて決めるのじゃ。

出典:『管弦楽法の基本』第1巻「弦と木管の重複」、第2巻No.90。旋律の組み合わせは原典本文、ハープの休符と周囲の役割は譜例の分析です。自作での比較手順は学習上の補足です。

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