【会話で学ぶ】同じ旋律を弦とフルートで重ねるなら、スラーもそろえるべき?
ヴァイオリンとフルートに同じ旋律を書いたら、スラーや音のつなぎ方も全部そろえたくなります。しかし、同じ旋律を重ねることと、同じ奏法へ統一することは別です。原典に挙げられた具体例から考えます。
クマニコル:博士、ヴァイオリンの旋律をフルートでも重ねます。音がばらばらにならないように、スラーも同じにした方がよいでしょうか?
リムコフ博士:クマ君、すべてそろえることを出発点にしなくてもよいよ。ヴァイオリンをデタシェ、フルートをレガートにして、同じ旋律に参加させる例がある。
クマニコル:重ねているのに、弦とフルートで奏法が違うんですか?
リムコフ博士:そう。音の高さが同じでも、どのように音を出し、つなぐかは別に選べる。一つの旋律に二つの楽器を使うことは、片方の指示を全部もう片方へ移すことではないんだ。
ヴァイオリンはデタシェ、フルートはレガート
『管弦楽法の基本』の「弦と木管の重複」では、『サルタン皇帝の物語』156–159の例として、ヴァイオリンのデタシェとフルートのレガートの組み合わせが挙げられています。下表は、その担当の違いを整理したものです。
| 役割・位置 | 楽器と鳴らし方 |
|---|---|
| 同じ旋律に参加する弦 | ヴァイオリン:デタシェ。 |
| 同じ旋律に参加する木管 | フルート:レガート。 |
| この例から確認する点 | 旋律を重複していても、両者の奏法を同じにそろえてはいない。 |
クマニコル:では、ヴァイオリンをフルートに合わせてレガートへ直すのは、単なる譜面の整理ではないんですね。
リムコフ博士:そうだよ。奏法を替えれば、弦がその旋律へ与えていた性格も変わる。見た目の指示がそろうことを、そのまま音楽の改善と考えないようにしよう。
クマニコル:逆に、フルートを弦に合わせる場合も同じですか?
リムコフ博士:同じことだ。どちらかへ統一する前に、なぜその二つの奏法が必要なのかを考える。片方は片方のつなぎ方を持ちながら、一つの旋律を作っているという見方ができるね。
弦とフルートの同じ旋律でも、スラーと発音を分けて考える
クマニコル:「同じ旋律を重ねる」と言われると、全部同じにするのだと思ってしまいます。
リムコフ博士:まず何を同じにしているかを分けよう。同じ線を担うこと、同じ高さで鳴ること、同じリズムで動くこと、同じ奏法を使うことは、それぞれ確認できる条件だ。重複という一語だけで、すべてが自動的に決まるわけではない。
クマニコル:譜面の音符が似ていても、奏法の違いは消してはいけない情報なんですね。
リムコフ博士:うん。弦にはさまざまな弓の使い方があり、それが表情を作っている。管楽器と同じ線に参加するときも、弦の奏法を独立した選択として扱うことができる。
違う奏法にすれば、何でもよくなる?
クマニコル:それなら、重ねる楽器は毎回違う奏法にした方が、面白くなりませんか?
リムコフ博士:違いを付けること自体を目的にはしない方がよいね。今回の例は、奏法の統一が必須ではないことを示している。どんな旋律にも同じ組み合わせが合う、という意味ではないよ。
クマニコル:ヴァイオリンがデタシェだから、どんなフレーズでもフルートをレガートにする、とは覚えないんですね。
リムコフ博士:その通り。フレーズに必要な音のつながりを考え、各楽器に何を担当させるかを決める。二種類を使う理由が単に人数を増やすことだけなら、奏法の違いをどう生かすかも曖昧になってしまう。
二つのパートではなく、一つの旋律として確かめる
クマニコル:書いた後は、ヴァイオリンとフルートを別々に確認すればよいですか?
リムコフ博士:別々の確認に加え、二つが同時に鳴ったときの旋律も見よう。それぞれの奏法が正しく書かれていても、合わさった結果が欲しい表情になっているかは、もう一つの判断になる。
クマニコル:同じ音を鳴らしているから、片方だけ聴けば分かるわけではないんですね。
リムコフ博士:そう。弦と木管を重ねると、互いの響きに働きかける。フルートだけのレガートと、弦が加わったときの旋律を、同じものとして想像しないことが大切だ。
クマニコル:まず、どんな旋律として聴かせたいかを決めて、その中で各奏法が何をしているかを確かめます。
リムコフ博士:よいね。スラーの形をそろえることから始めるのでなく、弦とフルートが共同でどんな線を作るかから考えよう。必要なら違う奏法を併用する。その選択肢を持っていれば、重複の書き方はもっと具体的になるよ。
ここでは原典の文章に明記された楽器と奏法の組み合わせを扱っています。作例の全音符やスラーの位置を再現した譜面ではありません。
出典:『管弦楽法の基本』第2章「旋律」弦と木管の重複(『サルタン皇帝の物語』156–159)、第1章「弦楽器」。作曲場面を設定した会話は、記述をもとに構成しています。
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