IIの七の和音:基本形及び第一転回形
課題No. 22
§39-1. 属七を除くあらゆる七の和音の中で、基本形あるいは第一転回形のIIは最も多く使われるものです。
§39-2. 完全終止や終止の性格をもつ進行において、基本形あるいは第一転回形のIIの和音をこの和音に置き換えることができます。
§39-3. IIの七の和音は、共通音を持つI, IV, VI度の和音のどれかによって予備してから使用しなければなりません。
§39-4. IIの七からVへ進行する場合、第7音は半音下行させます。一方カデンツとしてIの四六の和音に移る場合は、第7音は保持します。
§39-5. 第一転回形のIIの七の和音は、IVの六の和音の後にも使うことができます(例d)。
*§39-6. 以上の規則は、三四および二のIIにも成り立ちます。
注: VIの四六の和音を介することで、IIの七とIIの五六の和音を繋げることもできます。
課題No. 22の作例
変終止の特殊形
課題No. 23 (作例なし)
§40-1. IIの五六の和音あるいはVIIの三四の和音からIに移動し、バスが四度下行かつ上3声に跳躍がない場合、この進行はある種の変終止となります。
§40-2. この場合、これらの和音はどの拍に置くこともでき、基本形のIVで予備します。このIVは根音か第五音を重複します(第五音は稀)。自然長音階でVIIの三四を予備する場合にはIVで第三音の重複も可能になります。
コラールにおける七の和音
課題No. 24
§41. ここからは、コラールにおいて属七の和音(基本形も転回形も)及びIIの五六の和音を使用します。
最もよく使われるのは経過的な属七です。そうでない場合には属七の和音は可能な限り転回形で使うようにし、これはソプラノが第七音の場合に一層の注意が必要となります。転回形、特に五六と二の和音は非常に頻繁に用いられます。
このような和音を含むコラールを、§34の厳格和声に対して「自由和声」と呼びます。
課題No. 24の作例
九の和音
§42-1. 九の和音は七の和音にさらに三度上の音、つまり根音から九度上の音を重ねた和音で、五個の音から成っています。
§42-2. 独立和音としては長音階でも短音階でもV度でしか用いることができず、従ってドミナントとしての機能になります。
§42-3. 第九音が根音に対し長九度の場合に長九の和音、短九度の場合に短九の和音と呼びます。
§42-4. 長九の和音は自然長音階のV度に、短九の和音は和声的長音階及び和声的短音階のV度に現れます。
§42-5. 九の和音を四声で書く場合、第五音を省略します。
§42-6. 九の和音は基本形の主和音に解決します。この際、第九音は主和音の五度に向かって下行し、その他の音は属七の和音と同じ規則に従って解決します。
§42-7. 九の和音は、基本形のIV度、基本形のII度、IIの六の和音、IIの七の和音(*)、のいずれかの後に置き、和声的に連結します。第九音はソプラノ声部にあるのが望ましいでしょう。
§42-8. 自然長音階では九の和音を基本形のIV度と第一転回形のIV度の間に挟むことができます。(図a)。*長音階および旋律的短音階ではVI度の七の和音の前に置くのも良いでしょう(図b。例にあるVIIについては§46-1を参照のこと)。
§42-9. 一般に、九の和音はあまり多く用いるものではありません。ここでは九の和音について特段の課題を設けませんが、今後の課題で意識的に使っていくことにしましょう(ただし濫用には注意)。
注1:次のように、九の和音を別のメロディポジションで使うこともあります。
注2:九の和音の転回形は、第三転回形が稀に使われる程度です。