注:長調のみを例に記されている事項は全て短調でも同じように成り立ちます。長調と短調で異なる場合にはそれぞれの場合について例を示します。課題の作例はハ長調及びイ短調で示し、2拍子あるいは3拍子の小節に書いていきます。課題となるメロディ及びバスは本書の最後にまとめて与えます。
§で示した内容は、コラール以外すべて作例を参考に自ら課題を実施するように作られています。

基本形の和音:I度からIV度、I度からV度、及びその逆

§13. a) メロディへの和音付け(ソプラノ課題と呼ぶ)

課題No. 1

§13-1. 与えられたメロディに下3声を加え、基本形のI度、IV度、V度の和音を作成します。ただしこの節ではまだIV度とV度を直接連結してはなりません。
§13-2. 和声的連結あるいは旋律的連結の規則に従って三和音を書いていきます。
§13-3. もしメロディに三度を超える跳躍があった場合、和音の度数を変えてはいけません。
§13-4. メロディに同じ音が連続している部分があった場合、和音の度数を変えるか和音の配置を変えるかしてください。
§13-5. 曲の始まりと終わりは主和音でなければなりません。
§13-6. 小節の強拍には、前の小節の弱拍で使われていたのと同じ度数の和音は使用できません。
§13-7. バス声部が同じ方向に連続して四度あるいは五度動いてはなりません。

課題No. 1(ソプラノ課題)の作例


§14. b) バスへの和音付け(バス課題と呼ぶ)

課題No. 2

§14-1. メロディが滑らかに動くように留意しなさい。
§14-2. 導音は常に上行させること。このため、V度→I度の進行においてV度のメロディが導音の場合は、下3声は和声的連結をすることになります。

§14-3. 内声(アルトとテナー)に導音が含まれる場合、これを上行させるためにその後の主和音から第五音が欠ける(3つの声部が根音になる)ことがあります。

課題No. 2(バス課題)の作例

巻末に示した8小節(主に2拍子)の課題を各自実施してみること。

基本形の和音: IV度とV度の連結

課題No. 3

§15-1. IV度とV度は共通音を持たないため、必ず旋律的連結になります。
§15-2. 必ずIV→Vとしてください。V→IVは許されません。

課題No. 3(バス課題及びソプラノ課題)の作例

六の和音: 度数を変えない連結、I度とIV度、I度とV度

課題No. 4

§16-1. I, IV, Vの六の和音では根音だけでなく第五音の重複も可能です。第三音の重複は、上3声が同じ音を保持したままバスが第三音に上行する場合に限り許されます。

§16-2. 六の和音は、重複が根音と第五音のどちらか、またメロディポジションがどこかによって、次の10種に大別できます。

この図からわかる通り、六の和音の上3声には、音間隔が密集配置のように狭い部分ともっと広い部分(ただし1オクターブ以内)とが共存できます。ですので、基本形の和音2つの間に六の和音を挟むというのは密集配置から解離配置(あるいはその逆)へと移行する際の橋渡しに便利な技となります。

§16-3. 六の和音が連続してはいけません。
§16-4. 六の和音との接続は常に和声的連結でなければなりません。つまり、共通音は保持し、上3声のその他の声部も三度以内の移動にします。

§16-5. バスの六度跳躍は、基本形から六の和音に移る際には許されますが、六の和音から基本形へ移る際の六度跳躍は良くありません。また、七度跳躍は常に禁止されます。

注:メロディの六度跳躍は、逆に六の和音から基本形の第三音に移る際に現れることがあります。

課題No. 4(バス課題及びソプラノ課題)の作例

IV度の六の和音とV度の基本形の連結

§17-1. 六の和音で重複するのは必ず根音か第五音とし、第三音は重複しません。
§17-2. 上3声はどの声部も二度あるいは三度進行させます。
§17-3. 六の和音を用いてIV→V進行する際、六の和音においてソプラノとアルトが両方とも第五音になるのは連続五度の原因となるので良くありません。

IV度の基本形とV度の六の和音の連結

課題No. 5

§18-1. バスは減五度の下行のみが許され、増四度上行は許されません。
§18-2. 六の和音は根音あるいは第五音を重複します。
§18-3. 上3声はどの声部も二度あるいは三度進行させます。
§18-4. IV度の和音の上3声に五度音程が含まれている場合、V度の六の和音は第五音の重複のみが許されます。

課題No. 5(バス課題及びソプラノ課題)の作例

六の和音同士の連結: IV度とV度

課題No. 6

§19-1. IVは根音を、Vでは第五音を重複します。
§19-2. 六の和音のIV度とV度を接続する場合、連続五度の禁則を避けるためにはIV度の和音のソプラノが根音でなければなりません。
§19-3. 上3声のうち2声部をバスと平行に、残り1声部をバスと反行させます。

§19-4. 短調の場合、IVのバス(第三音)を半音上げることで増二度進行を回避します。

課題No. 6(バス課題及びソプラノ課題)の作例

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