第一章: 和音の基礎知識と命名法④ 異なる三和音同士の関係
§8. 四度あるいは五度離れた2つの三和音には共通して含まれる構成音が1つあり、この組み合わせを「四度または五度の関係」と呼びます。
三度離れた2つの三和音には共通音が2つあり、この組み合わせを「三度の関係」と呼びます。
二度離れた三和音は「二度の関係」と呼ばれ、共通音はありません。
第一章: 和音の基礎知識と命名法⑤ 各声部の進行について
§9. 声部の動き方は次の3つに分類されます。
1) 並進行(並行):2つの声部が同じ方向に上行/下行する進行
a, bのように2声部が同じ音程関係を保ったままの並進行を特に平行進行と呼びます。
2) 反進行(反行):2つの声部の片方が上行、片方が下行する進行
3) 斜進行(斜行):片方の声部が同じ音に留まり、もう片方が上行/下行する進行
和声進行の学習にあたっては、4つの声部からなる和声を使っていきます。4声による進行はあらゆる作曲の基礎となるものです。それぞれの声部は上から順にソプラノ、アルト、テノール、バスと呼ぶことにします。ソプラノの進行はメロディと呼ぶこともあります。
第一章: 和音の基礎知識と命名法⑥ 音の重複、及び密集配置と開離配置について
§10-1. 4声で三和音を鳴らす場合、根音を重複するのが最も良好です。本書でもはじめのうちは基本的にこの重複を用います。
§10-2. 三和音は、密集配置あるいは開離配置で書くことができます。
密集配置では、バス以外の上3声はそれぞれ三度あるいは四度の間隔に収まります。 開離配置では上3声が五度あるいは六度の間隔となります。
密集配置
解離配置
§10-3. ソプラノがどの音をとっているかによって、三和音は次の3つのメロディポジションをとることになります。
§10-4. 三和音は開離配置から密集配置にも、密集配置から開離配置にも自在に変えることができます。メロディポジションも自由に選ぶことができます。
第一章: 和音の基礎知識と命名法⑦ 和声的連結と旋律的連結 ~三和音の場合~
§11-1. 異なる和音をつなぐ場合、そのつなぎ方には和声的連結と旋律的連結というものがあります。
a) 和声的連結; 2つの和音の共通音が動かないつなぎ方。
b) 旋律的連結; 全ての声部が動くつなぎ方。
§11-2. 根音を重複する場合、どんな連結においても上3声は四度以上跳躍してはなりません。
§11-3. 和音が四度あるいは五度変化する場合には、配置の密集/開離を保ったままで和声的連結も旋律的連結も可能です。
和声的連結
旋律的連結
§11-4. 四度あるいは五度変化の場合、上三声はどの声部間でも並行あるいは斜行になるようにし、反行を含まないようにします。この場合、和声的連結で音が上行する場合なら旋律的連結では音が下行する形になるはずですし、逆に和声的連結で下行する場合なら旋律的連結では上行する形になります。
§11-5. 二度関係にある和音は共通音を含まないため、必ず旋律的連結になります。
§11-6. この場合、上三声はバスに対して反行あるいは同度に留まる(斜行)ように動かなければなりません。配置の密集/開離は変化しないはずです。
旋律的連結
§11-7. 三度関係にある和音は、和声的にも旋律的にも連結することができます。
§11-8. 三度関係にある和音は、和声的に連結した場合には配置の密集/開離が変化しませんが、旋律的に連結した場合にはこれが入れ替わります。
和声的連結
旋律的連結
§12-1. §11に記した連結規則に従うと、2つの三和音を同じメロディポジションで連結できないことがわかります。
このように2つの声部が連続して五度あるいは連続して八度を作るのは、和声法の学習においては並進行でも反進行でも決して許されません。連続一度も同様です。
§11-2. 同様に、和声法の学習においてはあらゆる増音程進行が禁じられます。特に増二度音程を含む和声的長音階および和声的短音階において注意が必要です。